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University of the Peopleを卒業してCSの学位を取得した

🎓UoPeople

2023年1月からUniversity of the PeopleのComputer Science学科に入学し、2025年5月に卒業の手続きを完了しました。この機会にかかった費用や授業の感想等についてまとめてみます。下記の内容含めUoPeopleの制度に関して質問があればXから@ebisentttへDMしてください!

FYI:入学時点で書いた記事には、入学手続きの注意点等を書いていますのでよろしければ。

前提

  • 国内の大学を卒業済み(CSではない)
  • 英語は旅行で困らない程度(Duolingo語学力テスト110点)

かかった費用

合計40万円程度(150円/$換算)でした。詳細は下記の通りです。

UoPeopleに支払った金額

項目 金額 備考
入学金 $60
Duolingo語学力テスト $46 入学時に英語力を証明するために受験。基準を満たせば最初の英語の授業が免除される。
単位移行手数料 $612 外部サービスで履修した授業・講座を単位として認定する。
単位認定料 $1680 $120 x 14講座。授業料は無料だが単位取得するには料金がかかる。

外部サービスに支払った金額

Courseraも使用しましたが、1ヶ月間の無料期間のみ利用したため費用はかかっていません。

項目 金額 備考
Sophia Learning $297 $99 x 3ヶ月
大学の成績証明書発行手数料 ¥1600
ProctorU $91.6 5つの授業で監督あり試験を受験

取得した単位と方法

UoPeopleのカリキュラムや単位移行の可否、外部サービスの状況は変わることがあるので、あくまで私自身の体験談として捉えてくださいmm

General Education

Foundational

分類 授業名 必修 方法
Learning & Research Fundamentals UNIV 1001: Online Education Strategies o UoPeople
Mathematical Sciences MATH 1201: College Algebra o 大学で取得した単位を移行
Mathematical Sciences MATH 1280: Intro to Statistics o Introduction to Relational Databases - Sophia Learning

Writing

分類 授業名 必修 方法
- ENGL 1102: English Composition o Foundations of English Composition - Sophia Learning

Values and Ethical Reasoning

分類 授業名 必修 方法
- - Introduction to Ethics - Sophia Learning

Civilization Studies, Culture and Belief

分類 授業名 必修 方法
- HIST 1421: Greek and Roman Civilization UoPeople

Disciplinary Area

分類 授業名 必修 方法
Humanities - 大学で取得した単位を移行。2単位の授業を3つで6単位分として認定された。
Social & Behavioral Sciences - 大学で取得した単位を移行。2単位の授業を3つで6単位分として認定された。
Natural Sciences & Technology - 大学で取得した単位を移行。1単位の授業を1つと2単位の授業を2つで3単位分として認定された
Elective - 大学で取得した単位を移行。3単位の授業を1つで3単位分として認定された

Major Required

Required Math Courses

分類 授業名 必修 方法
- MATH 1211: Calculus o Calculus I - Sophia Learning
- MATH 1302: Discrete Mathematics o UoPeople

Major Core Courses

分類 授業名 必修 方法
- CS 1101: Programming Fundamentals o UoPeople
- CS 1102: Programming 1 o UoPeople
- CS 1103: Programming 2 o UoPeople
- CS 1104: Computer Systems o UoPeople
- CS 2203: Databases 1 o Introduction to Relational Database - Sophia Learning
- CS 2204: Communications and Networking o System Administration and IT Infrastructure Services - Coursera から移行。1つの講座が6単位分として認定され、3単位分はこの授業に充当された。
- CS 2205: Web Programming 1 o Introduction to Web Development - Sophia Learning
- CS 2301: Operating Systems 1 o System Administration and IT Infrastructure Services - Coursera から移行。1つの講座が6単位分として認定され、3単位分はこの授業に充当された。
- CS 2401: Software Engineering 1 o UoPeople
- CS 3303: Data Structures o UoPeople
- CS 3305: Web Programming 2 o Introduction to Web Development - Sophia Learning
- CS 3306: Databases 2 o UoPeople
- CS 3307: Operating Systems 2 o UoPeople
- CS 4402: Comparative Programming Languages o UoPeople
- CS 4407: Data Mining and Machine Learning o UoPeople

反省・感想

学位取得の手続きに関して

学位を取得するための最後の授業を履修し、学位取得の手続きをする際の手順がちょっと複雑なので注意が必要です

  • 学位取得に必要な単位を取得したら申請を行う
  • Leave of Absenceの申請をしている(履修中の授業がない)Termでないと学位取得の申請ができない
  • 成績発表は次のTermが始まる前日
  • 最後の授業を受けている途中で次のTermの履修登録期間が始まる(履修中の授業の単位を落としたときのために次のTermでも同じ授業を履修登録しておくことはできない)

上記の期間を図にするとこんな感じ

T1: 最後の授業のTerm
PG1: 最後の授業の成績発表
T2: 次のTerm
RG2: 次のTermの履修登録期間

<--- T1 --->
    <-- RG2 -->
               <PG1>
                    <--- T2 --->

次のような手順が必要になります

  1. RG2ではT1の結果がわからないので、つぎのいずれかをして2へ
    1. 必要はないが履修してもよい授業を履修登録する(T1で履修中の授業は選べない)
    2. Leave of Absenceを申請
  2. PG1で成績を確認して
    1. 単位取得できていれば履修キャンセルして3へ
    2. 単位取得できていなければ一旦1の授業を履修して次のTermで再度必要な授業を履修する
  3. T2でLoAを申請した状態で初期4週以内に学位取得の申請をするとT2の8週目までに手続きが完了する

最後の授業の単位を落としてしまうと、やたら時間がかかるような仕組みになっているので注意が必要です。無事単位を取得できたとしても、最後の単位をとってから1ヶ月程度は申請中状態で待つことになります。

自分は無事最後の授業の単位を取ることができたのですが、LoAの回数を増やしたくなかったため次のTermに履修登録をしてしまっていました。これによって学位取得の申請ができず、アドバイザーに連絡したところ履修登録をキャンセルしてLoAの申請をするように言われたためその通り進めました。気になっていたLoAの回数については、連続5回までという制限があるものの、今となっては気にする必要はなかったと思います。

費用

  • 30万円から40万円程度を見込んでいたので予想通りといった感じです。円安になったのはちょっと痛かったかなーとは思います。
  • 強いて言えばSophia Learningを3ヶ月利用したので、もっと短期間で集中して単位を取得すれば多少費用を抑えられたかと思います。

授業

  • HIST 1421: Greek and Roman Civilization は歴史が苦手な自分にとってかなり苦痛でした...。馴染みないギリシャ史とローマ史の固有名詞だらけの文章を英語で読むのが辛かったです。高校で世界史の受験勉強をしたような人にとっては簡単かもしれません。
  • CS 4407: Data Mining and Machine Learning はまだまだシラバスの精査中なんだろうなぁという印象でした。他の多くのCSの授業では、教科書がいくつか指定され、Termを通してその教科書を使用しながら具体的な質問に対して回答する課題が出ます。一方、CS4407は教科書が指定されず、技術記事やオンライン図書館で情報収集するという形式で、質問も抽象的な印象でした。
  • どの授業も内容が高度なもの(授業名の数字が大きいもの)ほど評価が厳しくなる印象でした。最初はある程度知っている知識 + 教科書に眼を通す程度でも評価Aを取れましたが、後半にいくにつれて知らない内容が多くなったのもあり、評価が落ちていきました。

仕事や私生活との兼ね合い

  • 入学した2023年1月は教員からWebエンジニアへの転職が決まった時期で、転職前ということもありモチベーションも高かったし時間に余裕がありました。このときは2つの授業を同時に履修していました。
  • 転職後は前職よりも週末の時間が確保でき、かつ転職先の仕事も未経験として軽めのタスクを振ってもらっていたため、さらに余裕を持って授業を履修できました。すでに知っている内容と思われるもの(主に数学系)を履修するときはもう1つCSの授業を同時に取るようにしていました。
  • 後半は初期に比べるとモチベーションは下がり、確保できる時間も少し減ったため、課題にかける時間が減ってきました。3回ほどLeave of Absence(授業をとらないTermの申請。最大で5回できる。)をしました。このときは1つずつ授業を履修していました。
  • ダラダラ在学し続けるのを避けるために、最後のTermは2つの授業(CS4402とCS4407)を同時に履修し、課題のTODOリストをいつも目につく場所に置く工夫をしました。

全体を通して

  • CSを出ていないエンジニアということに対してなんとなーくコンプレックスがあったこと、今知らない基礎的な技術を知っておきたいモチベーションで入学を決めました
  • 最初はモチベーション高く取り組めていましたが、だんだんモチベーションが下がっている自分を俯瞰すると、「自分ってこの程度なのか...」と思ったりすることもありました。これに関しては、自分は興味の対象がコロコロ変わるものの周期的に技術への興味が高くなることがわかっているので、悲観せずに受け入れていこうと思います。
  • 単位移行も使いながらではあるが、2年4ヶ月でCSの学位を取得できたということは素直にポジティブに受け止めています
  • 最近UoPeopleはWASCの認定を受けたらしく、多少自分のキャリアにとっては追い風なのかなぁと想像しています

おすすめするか?

誰にでもおすすめできる!とは言えないかなぁというのが正直な感想です。次の条件を全て満たす人にはおすすめです。

希望する就職先や進学先の条件としてCSの学位が必要

従来の大学のようなキャンパスで同級生と一緒に大学教員の授業を聞くというものではなく、全てオンラインで一人で学習する(教科書も指定されず学習リソースを自分で探すこともある)ことになるため、卒業までの数年間モチベーションを維持することが難しいと感じました。学位取得のさらに先の目標がある人にとっては、これをモチベーションにできるので問題にならないでしょう。

自分は転職とほぼ同時に引越しもしたことをきっかけに、将来海外で就職するという選択肢も残しておきたいという程度の理由で入学を決めたので、後半はモチベーションの維持が難しくなりました。

仕事や家庭との兼ね合いでオンラインで完結するカリキュラムでなければいけない

完全にオンラインである必要が必要がなければ、放送大学等のスクーリングがある国内の大学も候補として挙げることができます。

料金を安く抑えたい

オンラインで海外大学でCSの学位を取得できる大学は他にもあります。UoPeopleの最大の魅力は料金の安さと入学のハードルの低さです。

ある程度英語が使えて英語で新しい知識を得ることへの心理的ハードルが高くない

当たり前ですが授業は英語で行われます。提供される教材も英語なので、知らないことを英語で勉強できる程度のスキルは必要です。なお、UoPeopleにはアラビア語で学習するカリキュラムも存在することを補足しておきます。